図面では分からない店舗内装工事の落とし穴

店舗内装の打ち合わせでは、図面があると話が進みやすくなります。

レイアウトも寸法も見えているので、安心感が出ます。

ただ施工側の感覚で言うと、図面が整っているほど「落とし穴」も見えにくくなることがあります。

図面はあくまで計画の骨組みです。

現場には既存の条件があり、工事には順番があり、仕上がりにはクセがあります。

その差を理解せずに進めると、完成間際や着工後に「こんなはずではなかった」が起きやすくなります。

この記事では、図面だけでは読み取りにくい店舗内装工事の落とし穴を、現場目線で整理します。

初めての開業であっても判断できるように、よくあるパターンを中心にまとめます。

図面どおりに作れない場面がある

図面は「こう作る」前提で引かれています。

一方で現場は「すでにそこにあるもの」から始まります。

この時点でズレが生まれます。

特に居抜き物件では、見える部分より見えない部分の影響が大きくなります。

天井裏の配線や配管の取り回しが思ったより複雑だった。

下地の状態が悪くて補修が必要だった。

こうした内容は図面には出てきません。

スケルトンでも同様です。

梁の位置や設備の干渉で、照明や換気の計画がそのまま通らないことがあります。

図面は「成立する前提」で進んでいるので、現場条件の確認が遅れるほど手戻りが増えます。

寸法が合っていても「使いにくい」ことがある

図面上で寸法が成立しているのに、現場で使いにくい。

このパターンは意外と多いです。

原因は「動き」が図面に載っていないからです。

店舗は営業中に同じ動作が繰り返されます。

通路幅が取れていても、人がすれ違う場所が詰まる。

客席の間隔が足りていても、椅子を引くと通れない。

こうした違和感は、数字だけでは判断しづらい部分です。

よくある落とし穴は次のようなものです。

・入口から席までの導線が一度ぶつかる

・厨房と客席の行き来が遠回りになる

・物の置き場が不足して通路に物が出る

図面上は問題ないのに、運用が始まるとストレスが積み上がります。

この手の問題は、完成後に直すほど費用と手間がかかりやすくなります。

仕上げの見た目より「下地」で差が出る

図面には仕上げ材の記載があります。

ただ施工では、仕上げ材より下地の精度が仕上がりを左右します。

ここが図面だけだと伝わりにくい部分です。

たとえば壁のクロスや塗装は、下地が荒いとムラが出ます。

床材は下地が弱いと鳴きや沈みが出ます。

照明は下地が歪むと光のラインが乱れます。

下地は完成すると見えなくなります。

だからこそ後回しにされがちです。

ただ施工品質の差が出るのは、見えない工程のほうです。

見た目の仕上げを良くしたいなら、下地に目を向けたほうが結果的に安定します。

この判断ができるかどうかが、完成後の満足度に直結します。

図面の「抜け」が後で高くつく

店舗内装では、図面にすべてが描かれているとは限りません。

特に初めての開業では、必要な項目を最初から網羅するのが難しいです。

抜けが出ること自体は珍しくありません。

問題になるのは、抜けに気づくタイミングです。

着工後に気づくと、段取りが変わります。

段取りが変わると、工期が動きやすくなります。

抜けとしてよく出るのは次の領域です。

・電源の位置と数

・照明スイッチの分け方

・収納やバックヤードの造作

・看板やサインの配線ルート

どれも「後から足せそう」に見えます。

ただ実際は、天井や壁を閉じた後に追加すると難易度が上がります。

結果として、金額が上がるか仕上がりが妥協になるか、どちらかに寄りやすくなります。

工期は図面より「段取り」で決まる

図面が整っていると、工期も読めると思われがちです。

ただ工期を左右するのは、図面より段取りです。

どの順番で工事を進めるかで、現場の効率は大きく変わります。

たとえば設備工事と造作工事の噛み合わせが悪いと、待ちが発生します。

材料の納期が読めていないと、現場が止まります。

仕上げが先行すると、あとから配線や補修が必要になりやすくなります。

こうした内容は、図面だけを見ても判断しにくい部分です。

施工側が段取りを組むときに初めて見えるリスクがあります。

だからこそ、相談のタイミングが遅いほど、余裕のない組み方になりがちです。

落とし穴を避けるために施主側ができること

落とし穴をゼロにするのは難しいです。

ただ、踏み抜きにくくする方法はあります。

施主側ができるのは「決める順番」を整えることです。

最初に決めたいのは、見た目ではなく運用の前提です。

何席で回すのか。

どんな導線で回したいのか。

どこに収納が必要なのか。

そのうえで、照明や素材の話に入ると判断がぶれにくくなります。

この順番が整っていると、図面の抜けも見つかりやすくなります。

結果として、追加工事や手戻りが減っていきます。

まとめ

図面は店舗内装を進めるうえで重要な資料です。

ただ図面だけでは、現場条件、動き、下地、段取りといった「工事の本体」が見えにくいことがあります。

そのズレを放置すると、着工後の手戻りや追加費用、完成後の使いにくさにつながりやすくなります。

落とし穴を避けるには、図面の完成度だけで安心しないことが大切です。

運用の前提を先に整理し、抜けやすい領域を早めに確認する。

この意識だけでも、内装計画の安定度は大きく変わります。

店舗開業をご検討中の方へ

仙杜工務店では、店舗内装工事の施工だけでなく、図面では判断しにくい現場条件や段取りの整理も含めてご相談を承っています。

図面があるから大丈夫と思って進めた結果、工事が始まってから調整が増えるケースは少なくありません。

開業準備の段階で一度、現場目線での確認ポイントを整理しておくと、工期や費用のブレを抑えやすくなります。

店舗開業に向けて内装を検討されている方は、早めの段階で一度ご相談ください。

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