店舗内装の「見積もり」がブレる理由

店舗内装の見積もりは、初回と二回目で金額が大きく変わることがあります。
A社は安いのにB社は高い。
同じ内容のはずなのに項目が違う。
予算を伝えたら急に内容が変わった。
こういうことが起きると、不信感が出ます。
ただ多くの場合、見積もりがブレるのは誰かが悪いからではありません。
内装工事の見積もりは、情報が揃っていない段階では“幅”を持つのが正常です。
その幅が大きくなってしまうときに、共通している原因があります。
施工会社の立場から言うと、見積もりがブレる一番の理由は「前提が揃っていない」ことです。
前提が揃っていないと、同じ店舗内装でも解釈が変わり、工程も材料も手配も変わります。
結果として、金額がブレます。
この記事では、店舗内装の見積もりがブレる理由を分解し、ブレを小さくするための整理ポイントをまとめます。
理由1 工事範囲が曖昧なまま見積もり依頼している
見積もりがブレる最大の原因は、工事範囲が曖昧なことです。
内装工事には、床と壁と天井だけでなく、設備、電気、空調、給排水、看板、家具、解体、廃材処分、各種申請などが絡みます。
どこまでが工事に含まれるのかが曖昧だと、会社ごとに含め方が変わります。
含め方が変われば金額は変わります。
特に居抜き物件では、残す範囲と直す範囲の線引きで金額が大きく変わります。
既存設備を使うのか入れ替えるのか。
既存天井を活かすのか解体するのか。
床の下地を触るのか触らないのか。
この差が、見積もりの差になります。
理由2 仕様が決まっていない部分が多い
見積もりは仕様で決まります。
床材が何か。
壁がクロスか塗装かパネルか。
天井を組むのか既存を活かすのか。
照明はどのグレードか。
こうした仕様が未確定だと、見積もりは仮になります。
仮の見積もりは、会社によって置く前提が違います。
A社は安全側に見て高めに組む。
B社は最低限で組んで後から調整する。
どちらが正しいというより、前提の置き方が違うだけです。
前提が違えば金額も違います。
仕様が決まっていない状態で複数社比較をすると、比較しているようで比較できていないことがあります。
見積もりがブレるのは、仕様がブレているからです。
理由3 現場条件が各社に同じレベルで伝わっていない
現場条件も見積もりに直結します。
搬入経路が狭い。
エレベーターの使用制限がある。
作業時間が限られる。
近隣への配慮が必要。
こういう条件があると、手間が増えます。
手間が増えれば金額が上がります。
しかし現場条件は、同じ現場でも見落としが出ます。
現地調査の深さが違う。
管理会社への確認の範囲が違う。
この差が、見積もりの差になります。
特にテナントビルでは、管理規約や工事申請の条件が影響します。
夜間工事が必要になる。
養生範囲が増える。
搬入の制限で人員が増える。
こうした条件は、見積もりの前提として揃っていないとブレやすいです。
理由4 電気と設備は、後から増えやすくブレやすい
店舗内装でブレが大きいのは、電気と設備です。
コンセントを増やす。
ブレーカーを増設する。
空調の容量を上げる。
給排水を延ばす。
このあたりは、業態が具体化するほど必要量が増えることがあります。
特に飲食は、給排水、ガス、換気、グリストラップ、排気などが絡みます。
美容も、給排水や電源の位置が運用に直結します。
オフィスでも、電源とネットワークの要求が後から増えます。
要求が増えれば金額が増えます。
要求が曖昧なら見積もりは曖昧になります。
理由5 仕上げのグレード差が見積もりに出る
内装の仕上げは、グレードで金額差が出ます。
クロスでも価格帯があります。
床材もピンからキリまであります。
照明も同じです。
家具や造作はさらに差が大きいです。
見積もり比較で怖いのは、安い見積もりが必ずしもお得ではないことです。
安い理由が、グレードが低いだけなら、完成したときの印象が変わります。
逆に高い見積もりが必ずしも良いわけでもありません。
過剰に安全側に積まれているだけのこともあります。
ここで大事なのは、グレードを揃えた比較をすることです。
グレードが揃わない比較は、結論が出ません。
結論が出ないと、見積もりのブレが永遠に続きます。
見積もりのブレを小さくするための整理ポイント
見積もりのブレを減らしたいなら、見積もり依頼前に整理するポイントがあります。
まず工事範囲を言葉で揃えます。
残すもの、直すもの、新設するものを分けます。
次に仕様が未確定の部分は、仮のグレードを決めておきます。
床はこの価格帯、壁はこの方向性、照明はこのテイスト、こういう仮設定で十分です。
次に電気と設備は、運用を前提に必要量を整理します。
コンセントの数と位置、厨房機器の有無、空調の必要性、給排水の位置を先に決めます。
この整理ができると、各社の前提が揃います。
前提が揃うと、見積もりのブレは小さくなります。
比較がしやすくなり、判断が早くなります。
まとめ
店舗内装の見積もりがブレる理由は、工事範囲の曖昧さ、仕様未確定、現場条件の共有不足、電気と設備の要求増、仕上げグレード差といった“前提のズレ”にあります。
見積もりがブレるのは異常ではなく、前提が揃っていない段階では自然に起きます。
ただ前提を揃えることで、ブレは小さくできます。
工事範囲を言葉で揃え、仮のグレードを決め、電気と設備を運用前提で整理する。
この順番で整えると、見積もり比較ができる状態になり、判断が速くなります。
店舗開業をご検討中の方へ
仙杜工務店では、店舗内装工事の見積もりを作成する際に、工事範囲と仕様と運用条件を整理し、後からブレが出にくい形に落とし込むことを重視しています。
見積もりが大きくブレると、予算もスケジュールも読みづらくなり、開業準備に影響します。
候補物件の段階でも、居抜きで残す範囲、直す範囲、設備の必要量、仕上げの方向性を整理することで、比較しやすい見積もりに近づけます。
見積もりの段階で迷いが出てきた方は、前提整理からでもご相談ください。



