店舗内装工事で、現場が止まりやすい“決め切れない項目”

店舗内装工事でいちばん痛いのは「手戻り」よりも、現場が止まる時間が増えることです。

止まっている間も家賃は動きますし、オープン日がズレれば売上の機会損失が出ます。

そして多くの場合、原因は職人の腕ではなく「決めるべきことが決まっていない」ことにあります。

ここでは、店舗工事の現場で止まりやすい“決め切れない項目”を、なるべく専門用語を使わずに整理します。

「何を、いつまでに、どの粒度で決めれば現場が回るのか」が見えるようにまとめました。

現場が止まる構造

店舗工事は、設計図が完成してから一直線に進むものではありません。

既存テナントの状況や、ビル側の制約、設備の位置、消防や保健所の指摘などで、実際は「進めながら確定する部分」が必ず出ます。

問題は、その“未確定”が工事の芯に触れているときです。

たとえば壁紙の色が決まっていないだけなら進められます。

でも、電気容量や給排水の取り回し、厨房機器の確定、カウンターの高さなどが未確定だと、下地・配線・配管が組めず、工程が止まります。

見た目のデザインに関わる話でも、寸法や納まりに直結する部分は施工側の手が止まるポイントになります。

“決め切れない項目”はだいたいこの7つ

ここからが本題です。

現場が止まりやすいのは、次の7つが「決まっていない」か「決まっているつもりで情報が揃っていない」ケースです。

1 工事範囲の線引き

どこまでが内装工事で、どこからが設備会社やビル側なのか。

テナント工事ではこの線引きが曖昧になりやすく、着工後に判明して止まります。

特に多いのは、空調・換気・防災・分電盤周りの範囲です。

2 仕上げの優先順位

床・壁・天井を全部キレイにしたい。

気持ちは当然ですが、限られた予算では“優先順位の確定”が先です。

優先順位が決まらないと、見積が固まらず、材料も発注できず、結果として工程が止まります。

3 寸法が絡むデザイン

カウンター高さ、棚の奥行き、什器サイズ、サインの大きさ。

このあたりは見た目の話に見えて、実際は大工造作の芯です。

寸法が決まらないと下地の位置が決められず、造作が進められません。

4 設備の前提

電気容量、給排水の位置、ガスの有無、換気量。

飲食でも物販でも、ここが曖昧だと工事が動かないか、動いても後で大きく戻ります。

デザインの方向性が良くても、設備の前提がズレると成立しません。

5 納期が長いもの

建具、照明器具、造作材、特殊な仕上げ材、厨房機器。

納期が読めないまま進めると、工程の最後で待ちが発生します。

待ちはそのまま「オープン延期」につながりやすい部分です。

6 許可・申請・ビル側承認

消防、保健所、ビルの工事申請、作業時間の制限。

これらは現場で解決できません。

承認が降りないと作業できない工程があり、そこに当たると止まります。

7 誰が決めるかの整理

施主が決める。

設計者が決める。

施工側が提案して施主が決める。

この分担が曖昧だと、判断が宙に浮きます。

現場は判断がないと次に進めないので、結果的に止まります。

止めないための現実的な進め方

大事なのは「全部決めてから着工」ではありません。

現実には、全部は決め切れません。

だからこそ、止まる項目だけは先に確定させるという順番が効きます。

おすすめは、決める内容を3層に分けるやり方です。

・着工前に必須で確定するもの(設備前提、工事範囲、主要寸法、ビル申請の要否)

・着工後でも良いが期限を切るもの(仕上げ材、照明器具、建具、サイン)

・最後に調整しても影響が小さいもの(小物、装飾、運用で変えられる部分)

この分け方ができると、施主側も「今決めるべきこと」に集中できます。

施工側も、どこまで確定で、どこからが保留かを前提に段取りが組めます。

現場が止まりにくくなる打ち合わせのコツ

打ち合わせは回数より中身です。

止まりやすい現場ほど、話題が見た目の話に寄りすぎるか、逆に設備の話だけで固くなりすぎます。

デザインと施工は対立ではなく、優先順位と制約を共有すれば両立できます。

打ち合わせで強いのは、次の3点が揃っている状態です。

・レイアウト案(ざっくりで良いが寸法の芯がある)

・やりたいことの優先順位(全部やるではなく、残す・削るの判断)

・オープン日と逆算スケジュール(いつまでに何を決めるか)

この3点が揃うと、現場で止まる“決め切れない項目”が自然に減っていきます。

まとめ

店舗内装工事で現場が止まる原因は、技術不足より「決めるべきことが決まっていない」ことがほとんどです。

工事範囲、設備前提、寸法が絡むデザイン、納期が長いもの、承認系、そして“誰が決めるか”。

このあたりを先に整理できると、工事は驚くほどスムーズになります。

弊社では、店舗開業をご検討中の方に向けて、見た目の方向性と工事の現実を両立させながら、止まりにくい工程づくりを前提に内装計画をご提案しています。

「何をいつまでに決めればいいか」から一緒に整理したい場合も、現状の図面や物件資料が揃っていなくても構いません。

開業スケジュールと優先順位を起点に、無理のない進め方を組み立てていきます。

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