居抜き物件で失敗しない現地調査チェックリスト

居抜き物件は、うまく活かせば内装費と工期を大きく抑えられます。
一方で、現地調査が甘いまま契約や着工に進むと、あとから大きな追加費用や工程の遅れが出やすいのも居抜きの特徴です。
原因はシンプルで、居抜きは見た目より「中身」がコストを決めるからです。
配管や電気容量や排気ルートや管理規約など、表に見えない前提が崩れると、居抜きのメリットが一気に消えます。
この記事では、居抜き物件で失敗しないために、現地調査で最低限押さえるべき項目を施工会社の視点で整理します。
チェックリストとして使えるように、順番と見落としやすいポイントをセットでまとめます。
現地調査は「残す判断」をする場だと決める。
居抜きの現地調査は、雰囲気を見てテンションを上げる場ではありません。
残せるものと残せないものを、できるだけ早く線引きする場です。
この線引きが曖昧なまま話が進むと、見積もりがブレ続けます。
ブレたまま契約すると、後半で追加費用として表に出ます。
現地調査では、次の三分類を頭に置きます。
残す。
直す。
捨てる。
この判断を先に作るほど、居抜きは安く安定します。
チェック1 物件の用途と制限を先に確認する。
まず確認したいのは、物件側の制限です。
ここを押さえずに内装を考えると、後でやり直しになります。
特にテナントビルは、工事申請や指定業者や施工時間の制限がコストに直結します。
確認項目はシンプルです。
管理規約と工事区分。
工事可能時間と搬入ルール。
原状回復の範囲。
指定業者の有無。
この四つが分かるだけで、見積もりの精度が上がります。
チェック2 電気の容量と分電盤の状態を確認する。
居抜きで一番怖いのは、電気容量不足です。
見た目がきれいでも、容量が足りないと増設工事が必要になります。
増設は費用も日数も跳ねやすいです。
見るべきポイントは次です。
分電盤の位置と回路の数。
契約容量の目安。
ブレーカーの余り。
200Vの有無。
厨房機器や大型空調を入れる予定があるなら、ここを最優先で確認します。
チェック3 給排水のルートと床の条件を確認する。
居抜きで費用が膨らむのは、水回りを動かすときです。
給排水は、動かすほど工事が連鎖します。
床の斫り。
配管の延長。
床復旧。
防水や勾配の調整。
このセットが付いてきます。
現地で見るのは、配管がどこから来てどこへ抜けているかです。
立管やPSとの距離も重要です。
床下に配管スペースがあるのか、床上げが必要なのかも押さえます。
美容や飲食なら、給湯と排水能力の前提も確認します。
チェック4 排気と換気のルートを確認する。
飲食で居抜きを狙うなら、排気は生命線です。
排気が合法に通せないと、プランが成立しません。
成立しないと判断が遅れ、物件選びからやり直しになります。
確認するのは、既存のフードやダクトの経路です。
屋上や外壁への抜け方も見ます。
防火区画や貫通の扱いも確認します。
近隣や上階への臭気対策の余地も考えます。
この条件が厳しいと、居抜きでも費用が上がります。
チェック5 空調の能力と年式を確認する。
空調を残せるかどうかで、コストは大きく変わります。
ただし、残すなら条件があります。
能力が足りる。
年式が極端に古くない。
メンテ履歴が悪くない。
この前提が必要です。
現地では、室内機と室外機の台数と位置を確認します。
配管の取り回しも見ます。
ドレンの排水ルートも見ます。
天井裏の状況が分かると、入れ替えの難易度も読めます。
チェック6 天井と床は「中身」を見る。
居抜きで見落としやすいのが、天井と床下地です。
見た目が残せそうでも、中身が弱いと後で崩れます。
たとえば天井裏がぐちゃぐちゃで照明計画が成立しないことがあります。
床が不陸で仕上げがきれいに決まらないこともあります。
天井は、点検口の有無と天井裏の混み具合を確認します。
床は、沈みや傾きや不陸の有無を確認します。
入口付近や水回り付近は特に注意します。
ここが弱いと、居抜きの“安さ”は成立しません。
チェック7 防災と消防の前提を軽く見ない。
居抜きで意外と効くのが、防災と消防の前提です。
用途が変わる。
席数が変わる。
厨房の条件が変わる。
この変化で、設備や申請が必要になることがあります。
現地調査では、既存の感知器や誘導灯や非常灯の状況を見ます。
消火設備の状況も確認します。
避難経路の取り方も確認します。
ここは物件や業態で変わるので、早めに前提を押さえるほど安全です。
チェック8 搬入経路と養生条件を確認する。
工事費は、現場までの道でも変わります。
搬入経路が狭い。
エレベーターが小さい。
使用時間が限られる。
台車が使えない。
こういう条件があると、手間が増えます。
現地では、駐車位置と搬入口を確認します。
エレベーターのサイズと利用条件も確認します。
共用部の養生範囲も確認します。
これを押さえるだけで、工事の段取りが読みやすくなります。
チェック9 見せ場は「残す面」と「変える面」で設計する。
居抜きの成功は、全部を変えることではありません。
印象が変わるポイントに集中できるかで決まります。
現地調査の段階で、入口から見える一枚を確認します。
カウンター正面や商品棚の背景も確認します。
客席から見える面も確認します。
残す面が決まると、変える面が決まります。
変える面が決まると、予算の集中先が決まります。
この順番で考えると、居抜きでも新店感が出やすいです。
現地調査で最低限そろえるメモ。
現地調査は、細かい資料作りよりメモの質が重要です。
次の情報がそろうと、見積もりが一気に安定します。
・分電盤と容量の目安。
・給排水とPSの位置関係。
・排気ルートの有無と抜け方。
・空調の台数と年式の感覚。
・工事可能時間と搬入ルール。
・残す面と変える面の当たり。
これだけでも、居抜きの失敗確率は下がります。
まとめ
居抜き物件で失敗しない現地調査のコツは、見た目より前提を押さえることです。
電気容量。
給排水。
排気。
空調。
天井裏と床下地。
管理規約と工事制限。
この順に確認すると、居抜きのメリットが残るかどうかが早い段階で判断できます。
さらに入口からの一枚と見せ場の面を決めると、限られた予算でも印象が変わる設計に寄せやすくなります。
店舗開業をご検討中の方へ
仙杜工務店では、居抜き物件の内装工事を進める際に、現地調査で残す価値のある要素を先に見極め、費用が跳ねるポイントを早期に潰す進め方を重視しています。
居抜きは判断順を間違えると、途中でコストが跳ねて開業準備に影響します。
候補物件の段階でも、設備条件と工事制限と見せ場の作り方を整理し、無理のない工事計画に落とし込むことが可能です。
居抜きで内装費を抑えつつ、仕上がりも妥協したくない方は、早い段階で一度ご相談ください。



