店舗内装工事で職人の動きが悪くなる設計の特徴

店舗内装は、仕上がりの見た目だけで完成するものではありません。

同じデザイン、同じ素材でも「現場が回る設計」かどうかで、品質と工期と追加費用の出方が変わります。

職人の動きが悪くなる設計は、工事中に小さな停滞を生み、その停滞が積み重なって手戻りや仕上げムラにつながります。

職人の動きが悪い現場は、単に段取りが悪いわけではありません。

多くは、図面の段階で「作る手順」と「作業スペース」を想定できていないことが原因です。

つまり、設計の時点で“現場が詰まる未来”が決まってしまっているケースがあります。

この記事では、店舗内装工事で職人の動きが悪くなる設計の特徴を、施工会社の視点で整理します。

デザイン性を落とす話ではなく、デザインと施工を両立させて仕上がりを守るための考え方です。

職人の動きが悪いと何が起きるか

まず前提として、現場の動きが悪くなると、見えないコストが増えます。

代表的なのは「待ち時間」と「やり直し」です。

例えば、材料が置けない、通れない、作業できない、別業者が入っていて手が出せない。

こうした状態が続くと、職人は作業を止めるか、無理な姿勢で作業するか、順番を変えて遠回りします。

結果として、工期が伸びたり、仕上げの精度が落ちたり、追加費用の相談が出やすくなります。

内装工事は、工程が前後関係でつながっています。

一部の詰まりが、次の工程の詰まりになり、最後にまとめて噴き出します。

「引き渡し直前にバタつく」のは、現場全体の動きが悪い状態がどこかで起きていたサインでもあります。

職人の動きが悪くなる設計の特徴

1 作業スペースが図面に存在しない

図面は完成形を描きます。

しかし現場は、完成形になるまでの途中が長いです。

その途中で必要なスペースが確保されていないと、作業は詰まります。

典型は、通路幅がギリギリで、養生材や脚立や材料が入ると人がすれ違えないケースです。

もう一つは、カウンター裏やバックヤードがタイトで、設備配管や電気配線の施工ができないケースです。

完成後は問題なく見えても、施工中は人と道具と材料が同時に存在します。

設計段階で「人が立つ場所」「道具を振る場所」「材料を置く場所」を想定しておくと、工事が止まりにくくなります。

2 収納と機器の“置き場”が後決めになっている

開業後の運用を考えると、収納は重要です。

一方で工事中の現場でも、仮置き場の考え方がないと動きが悪くなります。

例えば、レジ周りの機器、冷蔵機器、什器、サイン、照明器具。

納品タイミングがバラバラになりやすい物ほど、置き場がないと現場が散らかります。

散らかると、職人が作業するために片付けを始め、作業時間が削れます。

設計の時点で「何がどのタイミングで入ってくるか」を整理し、仮置きできる領域を確保すると、現場が荒れにくくなります。

3 電気と設備の計画が遅い

職人の動きが悪くなる原因として、電気と設備の後回しはかなり強いです。

照明位置、スイッチ、コンセント、分電盤、給排水、換気。

このあたりは先に決めるほど現場が滑らかになります。

逆に「壁ができてから考える」と、配線や配管のやり直しが起きます。

やり直しが起きると、壁を開ける、天井を開ける、仕上げを直す工程が増えます。

この工程は同じ場所に複数の職種が集まりやすく、動きが詰まっていきます。

デザイン性を高める照明計画も、設備条件が固まっていないと施工の自由度が落ちます。

先に骨格を決めることで、意匠の選択肢も残ります。

4 仕上げの切り替えが多すぎる

素材の切り替えはデザインの武器です。

ただし、切り替えの数が増えるほど、現場は繊細になり、手間が増えます。

床材の切り替えが多い。

壁の仕上げがパッチワークのように分かれている。

見切り材が多く、納まりが複雑。

こうなると、施工の順番が増え、測る回数が増え、確認が増えます。

確認が増えるのは悪いことではありません。

ただ、現場の動線上で同時に確認が発生すると、止まる時間が増えます。

デザインの意図を保ちながら、切り替えを「主役に集中」させると、動きは良くなり仕上がりも整います。

5 現場の検査と手直しが想定されていない

職人が動けない現場は、検査の段階でも詰まります。

検査のときに見たい場所が見えない、手直ししたいのに足場がない、什器が入ってしまって触れない。

こうなると、手直しが“やりにくい手直し”になり、仕上がりがブレます。

設計段階で、点検口の位置、機器裏の点検、清掃導線を整理しておくと、施工中も完成後も動きが良くなります。

これは運用の話であり、結果として施工の話でもあります。

職人が動きやすい設計にするためのチェック項目

設計を複雑にしないために、チェック項目を固定すると強いです。

工事前の打合せで、次の観点を確認すると、現場が止まりにくくなります。

・通路幅は養生や材料搬入を含めて成立しているか

・脚立を立てる位置が確保できるか

・機器や什器の仮置き場所があるか

・照明、スイッチ、コンセント位置は早期に確定しているか

・給排水、換気のルートは施工できる寸法になっているか

・仕上げの切り替えは主役に集中しているか

・点検、清掃、手直しの導線が成立しているか

ここが整理できると、デザインの質も上がります。

なぜなら、余計なやり直しが減り、狙った納まりに時間を使えるからです。

業態別に詰まりやすいポイント

飲食店

厨房まわりは設備が集中します。

給排水、ガス、換気、グリストラップ、防火の考え方など、条件が多いです。

厨房区画を“完成後の動き”だけで作ると、施工の順番が詰まりやすくなります。

厨房の壁や床を仕上げる前に、設備の試運転まで見据えると、手戻りが減ります。

結果として工期が安定し、開業準備の計画も立てやすくなります。

美容室やサロン

セット面の電源、照明、給排水がポイントです。

椅子の配置や鏡の位置はデザインと運用の両方に効きますが、配線配管が後から増えると、壁や床のやり直しが起きやすいです。

セット面周りは早めに“決め切る”ことで、施工がスムーズになります。

物販店

什器の固定方法と照明の当て方が肝です。

什器の位置が確定していないと、照明位置が決まらず、配線計画が後ろにずれます。

物販は写真の印象が集客に直結しやすいので、照明と什器の関係は先に固める価値があります。

まとめ

店舗内装工事で職人の動きが悪くなる設計には共通点があります。

作業スペースが図面上に存在しない。

収納や機器の置き場が後決めになっている。

電気と設備の計画が遅い。

仕上げの切り替えが多すぎる。

検査と手直しが想定されていない。

これらは、デザインを諦める話ではありません。

「作る順番」と「作業の流れ」を設計に織り込むことで、デザインと施工の両方を守る話です。

現場が滑らかに動くほど、仕上がりは揃い、追加費用も出にくくなります。

店舗開業をご検討中の方へ

仙杜工務店では、見た目の完成形だけでなく、工事の手順と作業スペースを前提にした内装計画を重視しています。

店舗の魅力が伝わるデザインを形にしながら、電気や設備、納まり、検査まで含めて“止まりにくい現場”に整えることで、工期と品質と予算を守りやすくなります。

開業準備の段階でも、図面が固まりきっていなくても、整理できることは多くあります。

物件検討中の段階からでもご相談ください。

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